Interview1


「高校を卒業して、通ってた学校も、大好きだった部活も、『この時は楽しかったよね!』ということも、全部思い出になってしまって。そういう時期に作ったアルバムなんです。現実が進んでいくことに抵抗する気持ちもあったし、『自分たちはどこに向かっていくんだろう』という漠然とした不安もあって」(柴田ゆう/Vo&Gt)

「だから、すごくセンチメンタルなアルバムだと思います。たぶん、今の時期にしか作れなかったと思う。でもきっと、そういうことを感じている人って、私たちだけじゃなくて、沢山いると思うんです。『自分は何者なんだろう』とか、答えが出ないものを抱えてさまよっているような。そんな人にとって、居心地のいいアルバムになったらいいなと思います」
(田口かやな/Gt)

sympathy の二人は、完成したばかりの2nd Mini Album『トランス状態』について、こんな風に語ってくれた。

タイトルは「悲しさとか、不安とか、嬉しさとか、いろんな感情が混ざり合って不安定になっている」状態をイメージしてつけたそう。でも、そこには恍惚とか興奮とかだけじゃなく、「AからBへと移行する」とか「乗り越える」といった「トランス」という言葉の本来の意味も、こめられているんじゃないかと思う。

つまり、少女から大人へと移り変わっていくその狭間。そこにある胸が締め付けられるような気持ちや、キラメキや、そういういろんな思いを鮮やかに刻み込んだのが、この一枚だ。

高知県出身の4人組バンドsympathy。平均年齢19歳。バンドを組んでからはまだ数年。軽音部で「一緒にやろうか」と女の子4人が集まったのが結成のきっかけだ。最初はチャットモンチーやGO!GO!7188やRADWIMPSやアジカンをコピーして過ごしてた。共通して好きだったのは、椎名林檎や相対性理論。他にもいろんなCDを貸し借りしてた。

誰もデビューなんて考えていなかった。でも、周囲が彼女たちを放っておかなかった。

結成してから数ヶ月して、大阪のコンテストで優勝。その時に披露したのが、このミニアルバムの6曲目に収録されている「あの娘のプラネタリウム」。オリジナル曲を作るのもステージに立つのも初めてだったから「『嘘やろ?』って。放心状態でした」(柴田)と、何よりメンバー自身が目を丸くしたという。そこから地元のライブハウスで活動するようになり、1stミニアルバム『カーテンコールの街』を「卒業制作のつもりで」(田口)レコーディング。ブッキングマネージャーの後押しで東京のライブハウスでライブをすることになり、それをたまたま観ていた所属事務所・レーベルと契約。バンドはまさにトントン拍子のシンデレラストーリーを描いてきた。

そして、高校卒業。予想以上の評価と大きく動いた状況を前に、彼女たちが選んだのは「4人でバンドを続ける」という選択肢だった。現在は、進路の関係もあって住んでいる場所はバラバラ。ライブ活動もままならない。でも「ただの友達じゃなくて、仲良しごっこでバンドやってるだけじゃなくて。本当に深いところで絆があって一緒にいる、そういう感じになりたい」と田口がメンバーに語ったのだという。

こうして、このミニアルバム『トランス状態』の制作が進められた。遠距離バンドでも、曲作りはLINEとskypeのやり取りでなんとかなる。アレンジだけじゃなく、曲によっては歌詞も4人のアイディアを持ち寄って作ったりする。「女子高生やめたい」も「さよなら王子様」も「紅茶」も「有楽町線」も「泣いちゃった」も、そうやって完成していった。

「何かと戦ってる。でもそれが何かは言えないんです。『さよなら王子様』は、正体不明のものと戦ってる、そういう女の子の歌です」(田口)

揺れる気持ちを、鮮やかな形にする。それがsympathyのロックの方程式だ。そこに大きな才能と大きな可能性を感じる。

2015.7 柴那典